闘病中のレジ打ち店員に客が腎臓を提供

フィリピンからアメリカに移民してきた女性ヴェガさん(49)は、宝石店でレジを受け持つ店員です。3年前に腎不全と診断されて以来、人工透析を受けながら働き続けていました。
ダン・コインさん(52)はヴェガさんが勤める店の常連客です。彼女がとても明るいことから、利用するときはいつも彼女のレジを選んでいたと言います。
すると2年くらい前から彼女は急にやせていき、具合の悪そうな様子を見かねたコインさんは、「大丈夫かい?」と声を掛けてみたそうです。
彼女は人工透析を毎晩8時間も受けていること、透析で何年も生きながらえることは出来るものの、かなり体力を消耗してしまうことなどを伝えました。
するとコインさんは「ぼくが腎臓を寄付してあげるよ」と申し出たのです。
最初に、この見知らぬ客である男性から腎臓を提供すると言われたときは、さすがに冗談だと思ったそうです。
ところがコインさんは大真面目でした。


彼女はいまだに驚きが隠せず、全く知らない人が腎臓をくれることが信じられないと語っています。
彼女はコインさんのことを良く知りませんでした。本気で言ってるのかも分からず、その時点では妹の腎臓が適合すればいいと期待を抱いていました。
現在アメリカでは8万4千人の腎不全患者が腎臓移植を待っている状況で、通常は亡くなる前に臓器提供の意思表示をしているドナーがいて、なおかつ家族の同意が得られたときだけ移植のチャンスがあると言い、生きている人からの移植は近縁者からが大半なのです。
ところが検査してみたところ、残念ながら妹の腎臓は適合しないことが判明しました。


するとコインさんはもう一度、提供の意思があることを彼女に伝えました。そして検査してみると、彼の腎臓は彼女と適合することがわかり提供することになったのです。
コインさんは結婚しており、妻のエミリーさんには、腎臓は1つでも問題なく健康に生活出来ることを伝え、理解を示してもらったそうです。
彼はそれほど特別なことではないと捉えているようです。
彼が勤める学校の校長先生は、とても驚きつつも「いつも人に与えようとするコインさんらしい決断だ」と述べています。
先週ヴェガさんの親戚に会ったというコインさんは「もう他人ではない」と言い、家族になったようだと伝えています。
身内でも躊躇してしまう臓器提供ですが、見知らぬ相手に平然と提供できるというのは、世人にはとても真似できることではありません。


らばQより。良い話だ。